サポーターブログSUPPORTER’S BLOG
第5章:健康的なダイエット「睡眠編」
2021年5月16日
食事制限をして、運動を頑張っているのに痩せない…
そんな方がいたら、原因は、「睡眠」にあるかもしれません。
睡眠不足が身体に与える影響はさまざまで、特に、脂肪分解を含む「代謝機能」には、多大な影響があります。
第5章では、睡眠とダイエットの関係から、ダイエットのための睡眠の考え方についてお話しします。
〜目次〜
1.睡眠とダイエットの関係
2.睡眠時間
3.睡眠の質
【睡眠とダイエットの関係】
パーソナルトレーナーとして、ダイエットに関わっていると、
「食事も運動も頑張っているのに痩せない人」がちらほらいらっしゃいます。
この方達に共通しているのが、脂肪燃焼システムの機能低下です。
脂肪燃焼システムの機能低下の原因としてよくあるパターンが睡眠不足です。
ここでは、睡眠不足が脂肪燃焼システムに与える影響を解説していきます。
『睡眠不足で痩せなくなる理由』
人間の身体に睡眠が必要な理由って何だと思いますか?
答えはシンプルに、脳や筋肉や内臓など、身体の様々な器官を休ませる必要があるからです。
人間の身体は、脳や筋肉の緊張によって、日中活動しています。
睡眠とは、この緊張をリラックスさせる働きのことで、
睡眠不足の状態は、脳や筋肉の緊張の回復が不十分になってしまうことになります。
緊張が回復されないと、どんどん緊張度が高まってしまいます。
緊張が高まった状態が続いてしまうと、
逆に緊張しないように、緊張する機能が低下してしまいます。
これが、脂肪燃焼システムの低下につながっています。
緊張=身体を活発に動かすことです。
脂肪燃焼システムは、脂肪を分解して身体のエネルギーに変換する働きことですので、
身体が活発に働かない
↓
エネルギーがうまく使われない
↓
エネルギーが必要ないから
脂肪をエネルギーに変えられない
=脂肪燃焼システムの低下
という形で、痩せにくくなってしまうわけです。
身体は、緊張とリラックスを繰り返してバランスを保っていますが、
この緊張とリラックスのバランスをコントロールしているのが、「自律神経」です。
『自律神経とは?』
自律神経とは、無意識下で内臓の働きや体温、心拍数などをコントロールしている神経で、
緊張を高める交感神経とリラックスさせる副交感神経の相反する2つの神経で成り立っています。
身体が活動する時には、交感神経が優位になり、体温を上げ、心拍を早め、エネルギーの代謝を加速させます。
逆に、副交感神経が優位になる時には、体温が下がり、心拍が落ち着き、エネルギーの消費も抑えられます。
このように、交感神経と副交感神経をうまく使いながら、身体をコントロールしているわけですが、
この2つの活動のバランスが取れているときは問題はないのですが、
どちらか一方の活動が高まりすぎたり、どちらの活動も低下してしまったりして、2つのバランスが崩れた時に、
脂肪燃焼システムの働きが低下してしまいます。
睡眠不足を例に出すと、
日中、仕事や家事で身体が活動的になり、交感神経優位で過ごしているにも関わらず、
睡眠で副交感神経を高まらなければ、副交感神経が低くなり、バランスが崩れてしまいます。
また、現代社会の問題点でもある「ストレス」は、過度な交感神経の緊張を起こしてしまい、
寝不足と相まって、更なる自律神経の乱れを引き起こしてしまいます。
では、自律神経が乱れることで、なぜ脂肪燃焼システムが働かなくなるのでしょうか?
『自律神経とエネルギー代謝』
エネルギー代謝には、「ホルモン」の影響が深く関わっています。
ホルモンを分泌する内分泌系は、自律神経とともに働いています。
各組織からのフィードバックにより、体内の状態を把握し、
内分泌系や自律神経が協働することで、体内の状態を一定に保ちます。(ホメオスタシス)
エネルギー代謝においても、この働きが重要で、
血糖値が低下して、グルコース以外のエネルギーを供給しないといけなくなった時に、
自律神経と内分泌系が働き、グリコーゲンや脂肪、筋肉を分解するホルモンを増やします。
その結果、エネルギー代謝が促進されすので、
自律神経と内分泌系がうまく協働していないと、脂肪を分解するホルモンが生み出せなくなり、
痩せにくくなってしまいます。
この、うまく協働していない状態が、自律神経が乱れている時です。
なので、寝不足で自律神経が乱れると、
ホルモン分泌がうまくいかず、脂肪燃焼システムが低下してしまうのです。
【最適な睡眠時間】
ダイエットに対する睡眠の重要性は理解していただいたと思いますが、
実際に「どれくらい寝たらいいの?」という疑問があると思います。
次は、ダイエットに必要な睡眠時間についてのお話です。
『何時間寝たら良いのか?』
ここまでの話を聞いて、睡眠時間が短いことがよくないことは分かりましたが、
逆に長すぎる睡眠は良いのでしょうか?
答えはもちろん良くありません。
睡眠時間が短いことのデメリットは、「副交感神経を高めることができず、交感神経とのバランスが乱れてしまうから」
ということでしたが、
睡眠時間を長くしすぎても、今度は副交感神経ばかりが高まりすぎて、バランスを崩してしまいます。
大事なことは、交感神経と副交感神経のバランスを適切に保つことですので、
短すぎても、長すぎても良くないのです。
日本人の平均睡眠時間は、約6時間半というデータがあります。
6時間半の睡眠で果たして十分なのでしょうか?
答えは、6時間半で十分な方もいれば、不十分な方もいます。
睡眠時間は、年齢や日中の活動量や遺伝的な個人差などで必要な時間が変わってきますので、
一概にも何時間が良いとは言い切れません。
ですが、ショートスリーパーやロングスリーパーなどの睡眠特殊体質な方を除けば、
7時間〜8時間程度が目安になる時間だと思います。
これは、通常時の睡眠時間であって、例外もあります。
季節の変わり目や疲れが溜まっている時など、一時的に睡眠時間を増やした方がいい時もあります。
しかし、平日は5時間睡眠で、土日は9時間寝て疲れを取るという考えかたは良くありません。
寝不足になると「睡眠負債」といわれる、睡眠の借金みたいなものが積み重なっていきます。
借金ですので、当然返す必要があるのですが、
1時間の睡眠負債を返すのに、「いつもより1時間多く寝ると睡眠負債が返せる」というわけではないのです。
これが厄介なところで、平日の睡眠負債を土日に寝溜めするくらいで返しきれないということです。
睡眠負債がどんどん積み重なって、自律神経のバランスが乱れ、ホルモンの分泌が適切に行われなくなってしまうので、
まずは睡眠負債を作らないように、毎日適切な睡眠をとることが重要です。
睡眠時間については、個人差が大きく、アバウトな目安しかありませんが、
自分の睡眠が悪いかどうか?を調べるチェックポイントがあります。
『睡眠不足チェック』
睡眠不足のチェックは、3つのポイントのセルフチェックです。
①目の下にクマができている
②ベッド(布団)に入って5分以内に寝てしまう
③食後など日中眠気を感じる
④朝起きられない、起きるのが辛い
この3つの中で2つ以上当てはまる方は、睡眠負債を抱え、睡眠不足になっているかもしれません。
②が意外に感じる方が多いと思いますが、
ベッドに入ってすぐに寝てしまうのも、睡眠不足の影響です。
通常、ベッドに入って10分ほどは、まどろみの時間がありますが、
睡眠不足の状態では、それがありません。
睡眠不足になると、「本当は寝たいけど、頑張って交感神経を働かせて起きている」状態になっています。
ですので、ベッドに入って交感神経の働きが落ちると、そのままスイッチが切れたように寝てしまうのです。
これは、寝ているというよりも、気絶に近い状態なので、いい睡眠とは言えません。
③と④に関して、血糖値コントロールの問題もありますので、
一概には、睡眠時間に問題があるとは言えませんが、
この4つのチェックポイントに問題があれば、睡眠を改善する必要がありそうだと思っていただければいいと思います。
『理想の睡眠時間を作るための考え方』
睡眠時間を削って勉強や仕事に励んでいる方もいらっしゃいますが、
はっきり言って、ものすごく非効率です。
「1時間の睡眠負債を2週間抱えると、脳のパフォーマンスは徹夜明けの状態と変わらない」というデータがあります。
徹夜明けの脳のパフォーマンスでは、良い仕事もできませんし、勉強が頭に入るとは思えません。
ダイエットだけではなく、睡眠時間に対する影響は多岐に渡りますので、
削るのは睡眠時間ではなく、他の無駄な時間にするという考え方をお持ちいただくと良いかと思います。
ここまで、睡眠の「時間」について話してきましたが、
実は、睡眠は時間よりも「質」の方が大切です。
【睡眠の質ファースト】
いくら適切な睡眠時間をとっていても、睡眠の質が悪ければ睡眠不足になってしまいます。
睡眠で最も大切なことは、「いかに睡眠の質を高めることができるか」です。
睡眠の質を高めるためためのポイントをお話しします。
『睡眠の質は、最初の90分で決まる』
睡眠は、浅い睡眠と深い睡眠を繰り返しています。
浅い眠りをレム睡眠、深い眠りをノンレム睡眠と言いますが、
レム睡眠のレムは、Rapid Eye Movement=目が動いている状態が由来です。
レム睡眠では、記憶の処理など脳が働いている状態のため、眼球運動が見られます。
ノンレム睡眠だと、脳も働かず、休んでいる状態です。
この2つの睡眠が波のように深くなったり、浅くなったりする周期を4回ほど繰り返して、朝目覚めるのが一般的な睡眠です。
この睡眠の波には、
寝始めほどノンレム睡眠が強く、時間が経つにつれてレム睡眠が強くなるという特徴があります。
「睡眠は最初の90分で決まる」というのも、この睡眠の波が関係しています。
睡眠の質は、ノンレム睡眠とレム睡眠の波(周期)が大切で、この波が理想的になっていると
睡眠の質が高まるのですが、
この睡眠の波には、「初めの90分(1回目の波)の質が、その後の波に非常に大きく影響する」という特徴があります。
ですので、初めの90分の波の質が良いと、その後の波の質も良くなり、
初めの90分の波の質が悪いと、その後の波の質も悪いということになります。
睡眠の質が良いということは、最初の90分の質が良いと言っても過言ではありません。
(夜間頻尿などで夜中に起きてしまう場合などは、その対処が必要ですが、)
余談ですが、
睡眠の波は90分周期というのが一般的ですが、
実はここにも個人差があり、大体90分 〜110分の間といわれています。
もしかすると、90分周期の方は睡眠時間が短くても平気で、110分周期の方は、長く寝ないと疲れがれない。
なんてこともあるかもしれません。
『睡眠の質を高める方法』
上記をふまえて、「睡眠の質を高める=寝初めの90分の質を高める」ということになりますので、
寝初めの90分の質を高めるためには、どうしたらいいか?
について話をしたいと思います。
ポイントは自律神経の活動で、
睡眠に入るためには、副交感神経を高める必要があります。
逆に交感神経を高めてしまうと、身体が起きてしまうので、
交感神経を高めないようにして、副交感神経を高めるようにすれば、
睡眠の質が高まりやすくなります。
〔交感神経を高めてしまう要素〕
・心拍数を上げる→運動、トレーニング
・体温を上げる(上がりすぎる)
・脳を働かせる(勉強、推理小説)
・強い光(スマートフォン、タブレット)
・緊張する(サスペンスドラマ、ゲーム)
〔副交感神経を高める要素〕
・心拍数を下げる
・体温を下げる
・脳を働かせない
・部屋を暗くする
・マッサージやストレッチ
・リラックス効果のある事をする
特に実践しておきたい3つのポイントについて具体的にお話しします。
『体温と睡眠の質』
体温は、自律神経がコントロールしているものの1つですが、
逆に、意識的な体温の変化を使って、自律神経をコントロールすることもできます。
体温が高くなるような事をすれば交感神経が高まりますし、
体温が低くなるような事をすれば副交感神経が高まります。
寝るときに大切なのは、副交感神経を高めることですので、
体温が下がるようにコントロールすれば、睡眠の質も良くなります。
体温というと、深部体温と皮膚体温がありますが、
この場合の「体温」というのは、深部体温のことです。
深部体温は、その名の通り深部(内臓や筋肉、脳)の体温のことです。
この、深部の体温を下げるためには、入浴が有効です。
お風呂に入ると、一時的に体温は上がりますが、
人間の身体は、ホメオスタシスで一度上がったものを元に戻そうとする働きがあり、
その働きによって、入浴後に深部体温が下げられることがわかっています。
一度上がった体温が下がるまでに、90分ほど時間がかかりますので、
ベッドに入る90分前に入浴をするとベストです。
注意点としては、体温が上がりすぎと交感神経が高まりすぎてしまいますので、
38度〜41度ほどのお湯で、15分を目安に湯船に浸かるようにしましょう。
また、お風呂に入ってから90分以内に寝る場合は、湯船にはつからず、シャワーで済ませるようにしてください。
エプソムソルトなどのマグネシウム入りの入浴剤を使っていただくと、
更に効果的ですので、オススメです。
『光と睡眠の質』
次は、光についてです。
体温同様、光の明るさによって自律神経のコントロールができます。
これは、太陽が昇って身体が活発になり、
太陽が沈むと眠りにつくという日内リズムに由来するもので、
基本的に強い光を浴びると交感神経が活性化します。
夜は照明を暗くしたほうが、睡眠の質を高めることができますので、
太陽が沈んでからは、徐々に部屋の明かりを暗くしましょう。
また、目に入ってくる光でも、交感神経は活性化します。
スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスを夜に使うと眠れなくなるのはこのためです。
目の真裏にある視床という脳の一部が、自律神経の司令塔のような役割をしていて、
目の緊張(強い光によって)が高くなると視床まで緊張してしまうことから、
交感神経の緊張を引き起こします。
理想は外が暗くなったら電子機器を触らないようにすることですが、
最悪寝る90分前までには、強い光を浴びないようにすると、睡眠の質がよくなると思います。
『睡眠は、起きた時から始まっている』
自律神経には、1日のリズムがあり、時間帯によって交感神経が高まるのか、副交感神経が高まるのか、が決まっています。
朝から徐々に交感神経が高まり、ピークを迎えてから徐々に副交感神経が高まっていきます。
このリズムはすごく重要で、日中しっかり交感神経を高めておかないと、夜に副交感神経が高まらない仕組みになっています。
ですので、日中の交感神経が睡眠の質に大切になります。
具体的には、
朝起きたら、まず日光を浴びましょう。
日光を浴びると、交感神経のスイッチを入れることができ、
「これから1日が始まるぞ」と身体が察知してくれます。
運動習慣も非常に重要です。
人間の身体は、もともと狩りをしたり、危険から逃げたりと、運動するためのシステムが構築されていますので、
運動しないことに対するストレスは計り知れません。
ストレスや腸内環境についても、睡眠の質に与える影響がとても大きいのですが、
その関係については、別の機会でお話します。
そして、寝る90分前(風呂上がり)からは、いよいよ寝る準備に入ります。
ここでは、リラックスした時間を過ごしていただき、副交感神経を更に高めることを意識していただきたいです。
軽いストレッチをしたり、深呼吸をしたり、ハーブティを飲んだりと、
ゆったり時間を過ごしていると、徐々に眠気が強くなっていきます。
夜の習慣をルーティンにしておくと、頭を使うことも抑えられますので、
自分に合ったルーティンを見つけてください。
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