サポーターブログSUPPORTER’S BLOG
第8章:こんな人は痩せない!「貧血編」
2021年6月24日
日本人女性の5人に1人は貧血と言われています。
「貧血と診断された」、「貧血の自覚がある」方も多いのではないでしょうか?
ダイエットにおいて、貧血であることは痩せにくい状態にあると言えます。
この章では、貧血の原因や改善について解説し、
貧血によって痩せにくくなっている方の改善のポイントご紹介します。
〜目次〜
1.貧血は痩せにくい?
2.血液検査でみる貧血
3.鉄の効率的な摂り方
4.貧血改善のまとめ
【貧血は痩せにくいのか?】
貧血が痩せにくいのは何なぜでしょうか?
まずは貧血の症状や、赤血球の役割について理解し、
貧血がなぜ起こり、なぜ脂肪燃焼に関わるのか?について説明します。
『貧血とは』
貧血とは、
血液中の赤血球の中にある、ヘモグロビンの濃度が低くなった状態のこと
です。
主な症状は、
・立ちくらみやめまい、ふらつき
・頭痛や身体のだるさ
・集中力の低下や元気が出ない
・甘いものの依存
・冷え性
・情緒不安定
などがあります。
貧血の症状は意外と多いですね。
「甘いものの依存」や「集中力の低下」などは、
貧血の症状としてイメージしづらい方もいると思いますが、
ここでお話しする内容を理解すれば、「なるほど!」となるはずです。
貧血は、特に女性の方に多いです。
これは生理に関係しています。
女性の生理による出血は、手の小指ほどの量と言われています。
毎回小指ほどの出血があるとすると、
大変な量の血液や赤血球を放出してしまうということなので、
男性よりもはるかに血液を作る必要があります。
ですが、女性の食事の量は男性以下、良くても男性並で、
身体に入ってくる栄養素も少ないので、貧血になりやすくなってしまいます。
「健康診断の結果は良いのに、元気が出ない」
「やる気が起こらず、甘いものが好き」
「焦燥感が強く、情緒不安定」
など、栄養的に考えると、これらは性格の問題ではく、
栄養不足による、貧血症状と言えます。
貧血症状の改善のためには、
まずは、赤血球の役割について理解しましょう。
『赤血球の役割』
貧血と聞くと、「血が少ない」というイメージをお持ちかもしれませんが、
血の量が少ないのではなく、血の中の赤血球やヘモグロビンが少ないことを意味します。
貧血といえば、赤血球やヘモグロビン、ヘム鉄といったワードが出てきます。
これらは、別々のものではなく、
赤血球の中に、ヘモグロビン。
ヘモグロビンの中に、ヘム鉄。
ヘム鉄の中に、鉄。
というように、赤血球の中の成分のようなイメージです。
赤血球の役割は、
肺から体内に入ってきた酸素を全身に運ぶことです。
実際に酸素を捕まえる機能があるのは鉄です。
酸素を捕まえた鉄を運ぶために、
ポルフィリン環と呼ばれる構造で鉄を閉じ込めたものが、ヘム鉄です。
ヘム鉄を運ぶために、
ヘム鉄の周りをグロビンというタンパク質でつつみ、それが4つ組み合わさったものが、ヘモグロビンです。
そして、ヘモグロビンがたくさん集まったものが赤血球です。
これが、酸素を運ぶための赤血球の構造です。
構造から考えると、
・赤血球の数が少ないのも貧血
・赤血球は多くてもヘモグロビンが少なくても貧血
となります。
そのほかにも、貯蔵鉄と呼ばれる「フェリチン」がありますが、
それは後ほどご紹介します。
『貧血になると痩せにくくなる理由』
赤血球の役割は、酸素を全身に運ぶ役割があると言いましたが、
具体的に「全身」とは、どこのことでしょうか?
これが貧血と脂肪燃焼が深く関わっている理由です。
この「全身」とは、ミトコンドリアのことです。
ミトコンドリアとは、
細胞の中にあるエネルギーを作る工場です。
人間は、ATPというエネルギーを作って生きています。
ミトコンドリアでATPを作り出す際に、酸素が必要不可欠です。
ATPを作る経路は、
・細胞質でグルコースからATPを作る経路(解糖系)
・ミトコンドリアで解糖系の最終産物や脂肪などからATPを作る経路
があります。
脂肪をATPに変換して、燃焼するのはミトコンドリアの働きですので、
貧血でミトコンドリアに十分な酸素が運ばれないと、
脂肪がATPに変換されづらくなり、痩せにくくなります。
これが貧血で痩せづらくなってしまうメカニズムです。
貧血の状態が治らなければ、ミトコンドリアの酸素不足が解消されず、
運動を頑張っても、食事を制限しても痩せにくいので、
まずは貧血の状態を改善する必要があります。
また、
先程の2つのATPを作る経路は、
・細胞質は、作るスピードが早く、量が少ない
・ミトコンドリアは、作るのに時間がかかるが、量が多い
という特徴があります。
貧血でミトコンドリアでのATP産生が低下してしまうと、
大量にエネルギー源作る経路を失ってしまうので、
エネルギー切れで立ちくらみやクラクラしたり、
元気が出なかったり、集中力がなかったりしてしまいます。
さらに、
メインのエネルギー源が糖質に偏ってしまうので、
甘いものを異常に好むようにもなります。
「女子って甘いもの好きだよね〜」
は、味の好みではなく、ただの貧血の可能性が高いです。
これらの理由から、貧血の改善はダイエットにおいて非常に重要です。
【血液検査でみる貧血】
次は血液検査での、貧血の項目のご紹介です。
ご自身の血液検査データがあれば、一緒にご覧ください。
※このブログは、医療行為を目的としているわけではく、
あくまでも健康・ダイエットの情報発信のために公開していますので、あらかじめご了承ください。
『血液検査での貧血項目』
血液検査での貧血の重要項目は、
・赤血球(RBC)
・ヘモグロビン(Hb)
・フェリチン
・MCV
・MCH
・MCHC
などがあります。
1つずつ解説すると、
・赤血球(基準値:450)
血液中の赤血球の数を表しています。
赤血球の数があってもヘモグロビンの数が少ない場合があるので、
赤血球数値だけ見ても貧血かどうかは判断できません。
・ヘモグロビン(基準値:13.5)
貧血を見る数値の中で1番重要な数値です。
ヘム鉄とタンパク質であるグロビンからできているので、
数値が低い場合は、鉄不足かタンパク質不足の可能性が高いです。
鉄剤を飲んでも数値が変化しない場合は、
タンパク質の量を増やすことをオススメします。
・フェリチン(基準値20〜250)
貯蔵されている鉄の数値です。
ヘモグロビンが財布とすると、フェリチンは銀行の預金のイメージで、
ヘモグロビンが基準値でも、フェリチンが低いと貧血の症状が出る場合があります。
フェリチンが20より低い場合は、積極的に鉄剤や鉄サプリを摂取すると良いです。
・MCV(基準値:90)
赤血球の大きさを表す数値です。
赤血球の大きさが大きいと色々な問題が出てきます。
後ほど解説したいと思います。
・MCH(基準値:31)
赤血球の中のヘモグロビンの量を表す数値です。
鉄不足の場合は、数値が下がります。
・MCHC(基準値:31)
赤血球の中のヘモグロビンの率を表した数値です。
鉄不足の場合は、数値が下がります。
貧血の項目をみるときは、
これらの数値を掛け合わせて、総合的に判断します。
どれか1つの数値をみても、何が不足しているのか分からないので、
全体のバランスをみた上で判断することが重要です。
『貧血は鉄不足だけじゃない?』
どうしても貧血=鉄不足というイメージが強いので、
「私貧血だから鉄サプリ飲も」となりがちです。
ですが、貧血の原因は鉄不足ではない可能性もあります。
先ほども書きましたが、
ヘモグロビンは、ヘム鉄をグロビンをいうタンパク質でくるんでいるので、
タンパク質が足りなくても、ヘモグロビンの値は下がってしまいます。
この場合、鉄の摂取量を増やしても、
ヘモグロビン値が改善されない場合がありますので、
貧血=鉄不足ではないということは覚えておいてください。
また、ヘモグロビンの量の問題での貧血以外にも、
巨血芽球性貧血という、赤血球の大きさが大きすぎて貧血になる場合もあります。
『巨血芽球性貧血とは』
血液検査のMCV値(赤血球の大きさ)が高い場合、
巨血芽球性貧血(きょけつがきゅうせいひんけつ)が疑われます。
赤血球は、全身のミトコンドリアに酸素を運ぶ働きをしています。
赤血球が通る血管は、身体の中枢ほど太く、末梢に行くほど細いので、
末梢まで赤血球が酸素を届けるには、細い血管を進んでいく必要があります。
末梢の毛細血管の直径は、正常な赤血球と同じ長さで、
赤血球の大きさが大きいと、毛細血管の中を進みづらくなります。
赤血球の肥大化で貧血になることを巨血芽球性貧血と言います。
赤血球が大きくなってしまう原因は、
ビタミンB群のB12と葉酸不足にあります。
赤血球は、骨髄で作られています。
幹細胞という赤血球の赤ちゃんから、DNAを合成して赤血球になっていくのですが、
大きさは、幹細胞が一番大きく、赤血球になるにつれて小さくなっていきます。
DNA合成される過程で小さくなっていくので、
DNA合成に必要な栄養が足りていないと、赤血球が大きいままになってしまいます。
DNAには、「メチル基」が必要なのですが、
そのメチル基を他の物質から運んでくる過程でB12や葉酸が必要になります。
ですので、B12や葉酸不足は、DNA合成を遅延させ、
結果的に巨血芽球性貧血を起こす原因になってしまいます。
MCVが基準値よりも高めに出ている場合は、
B12や葉酸の摂取を意識すると良いと思います。
【鉄の効率的な摂り方】
貧血改善の目玉は鉄の摂取です。
しかし、鉄の摂取にはいくつか注意点があり、
間違えるとせっかく摂った鉄が吸収されないこともあります。
鉄の効率的な摂り方についてお話しします。
『ヘム鉄と非ヘム鉄』
鉄といえば、ヘム鉄と非ヘム鉄があることはご存知だと思います。
ヘム鉄は、鉄がヘムに包まれている形で、2価鉄とも呼ばれます。
非ヘム鉄は、ヘムに包まれていない鉄で、3価鉄とも呼ばれます。
それぞれの鉄は、
ヘム鉄:赤身肉、赤身魚など
非ヘム鉄:レバー、白身魚、貝類、野菜、海藻、豆類など
に多く含まれます。
特にレバーは、非ヘム鉄を多く含む食材に分類されますが、
ヘム鉄の量も多く、とても優秀な鉄の摂取源です。
通常ヘム鉄は、非ヘム鉄よりも吸収率が高く、
ヘム鉄が10〜25%、非ヘム鉄が2〜5%
くらい吸収されると言われています。
その理由は、
ヘム鉄の場合、食べ物から摂ると、小腸で3価鉄に変化させ、小腸から吸収されますが、
非ヘム鉄の場合、1度胃酸やビタミンCで2価鉄に変化させ他後に、また小腸で3価鉄に戻して吸収されます。
また、それぞれの吸収に対する小腸粘膜の入口は異なり、
非ヘム鉄の吸収する入口は、他の栄養素の吸収にも利用されるため、
非ヘム鉄は、ヘム鉄よりも吸収率で劣ります。
ですが、
重度の鉄欠乏の場合、非ヘム鉄の吸収率が高まるというエビデンスもあります。
ありますが、基本的にはレバーがオススメです。
非ヘム鉄を摂ろうと思うと、野菜などのイメージがありますが、
野菜に含まれている鉄は、食物繊維で包まれているため、吸収は困難です。
鉄を食品で摂る場合は、動物性のものを選んだ方が吸収率が高いと思います。
『鉄を摂っても吸収できない?』
鉄の吸収にまず大切なのは、腸内環境です。
他のミネラルの同じことが言えますが、
鉄は、腸内環境の良さに吸収効率が左右されます。
腸に炎症がある場合は、腸から吸収された鉄を運ぶタンパク質である
フェロポルチンが少なくなり、鉄の吸収を止めてしまいます。
また、カンジダという菌が腸内で増殖している場合は、
カンジダが鉄を食べてしまい、腸から吸収されないこともあります。
鉄を意識して摂る前に、まずは腸内環境を整える必要があります。
また、3価鉄は胃酸やビタミンCによって2価鉄に変化させる過程があるため、
胃酸の分泌がされていなくても、吸収しづらくなります。
栄養素の吸収に対しての、胃腸機能の重要性は高いので、
問題がないか確認しましょう。
【貧血改善のポイント】
貧血改善のポイントです。
『まずは吸収を良くする』
鉄、タンパク質、ビタミンB12、葉酸。
貧血の際に必要な栄養素は、どれも食べる量を増やせば良いというわけではありません。
栄養素は、吸収し、代謝されて初めて効果を発揮しますので、
吸収できない栄養素は、ただのゴミです。
吸収効率を良くするためには、
どの栄養素も胃腸機能が重要です。
鉄に対しては先ほどお話ししましたが、
タンパク質やB12、葉酸に対しても同様です。
特にタンパク質は、消化吸収の問題が深いです。
タンパク質は、口で咀嚼し、胃の胃酸とペプシンである程度分解し、
十二指腸のペプシターゼでさらに分解して吸収されるので、
消化の段階がすごく多いです。
噛まずに飲み込んだり、胃酸が出ていなかったりと、
腸以前の段階で消化ができていないと吸収されません。
どの栄養素も、摂ったら終わりというわけではありませんので、
まずは吸収できる土台を作ることが重要です。
『貧血オススメ食材』
・鉄
鉄のオススメ食材といえば、やっぱりレバーです。
上記の通り、非ヘム鉄もヘム鉄も両方多く含まれているので、
すごくオススメです。
そのほかは、動物性食品がオススメですが、
どうしても野菜などで摂りたい場合は、
ビタミンCと一緒に摂るなど、非ヘム鉄の吸収をサポートする工夫も必要です。
・タンパク質
タンパク質は食べれるものを食べると良いと思います。
何を食べるかよりも、消化吸収が大切ですので、
胃酸のサプリや消化酵素のサプリを一緒に飲むのもオススメです。
プロテインの場合は、腸内細菌をあらす人工甘味料が不使用なもので、
ホエイアイソレートのプロテインを選ぶと間違えないと思います。
アミノ酸のドリンクでも大丈夫です。
・B12、葉酸
ビタミンB12や葉酸も、動物性食品に非常に多く含まれます。
結果的に、鉄もタンパク質もビタミンB12、葉酸も
お肉やお魚などの動物性食品を摂れば効率が良いです。
ビタミンB12に関しては、タンパク質同様胃酸が重要です。
『出血の問題』
どんなに栄養素で貧血を改善しようとしても、
出血が多量にある場合は、改善しにくいです。
女性であれば、生理での出血が多い方は、要注意です。
生理の出血に他する対策を優先的にしないと、
貧血改善は難しくなります。
また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、
潰瘍性の出血や痔などでも出血があります。
これらの出血は見逃しやすいですが、
貧血の原因になっている場合がありますので、
栄養素の前に改善しておく必要があります。
ここまで貧血の原因や改善についてお話ししましたが、
ここでの内容の実践には、かかりつけの医師の指導のもと行ってください。
貧血で痩せづらくなっている方に実践していただけたら幸いです。
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